現在の日本のテニス人口は399万人(※日本テニス協会調べ)
しばらく減少傾向でしたが、2012年(373万人)からは微増。
競技者(日本テニス協会の調査は、過去1年間に1回以上テニスをした10歳以上の人数をカウント)が増えることは良いことですね✊
とはいえ、
もっと重要なのは「テニスの試合を観戦する人」を増やすことだと考えてます。
もっといえば”自分はテニスしないけどテニス観戦には行く人の数”ですね。
「テニスを観戦する風土・空気・仕組みを作る」と言っても良いかもしれません。
競技者を増やす(あるいは、減らさない=続けてもらう)というのは、あくまでも大前提。
競技者が増えないようでは全く話になりません。
”試合観戦”がメジャーな競技
- プロ野球
- Jリーグ
- フィギュアスケート
- バレー
- 大相撲
などのスポーツ観戦は、日本ではメジャーです。
最近ですと五郎丸選手の影響などで”ラグビー観戦”も増えてるようです。
マラソンの場合、メジャースポーツではありますがチケットを買ってスタジアム(会場)へ観戦に行くという観点からするとちょっと違うので除外。
団体競技と個人競技
上記に挙げた5つの中で、種類が少し違うと思われる競技は、
“フィギュアスケート”
と、
“大相撲”
この2つ以外は団体競技になり、フィギュアスケートや大相撲はテニスと同じく個人競技になります。
1人の選手当たりの観客動員数
仮に、野球やサッカーでMAX5万人収容のスタジアムで試合を行う場合、
- 野球なら両チームの先発選手18人
- サッカーなら両チームの先発選手22人
のプロ選手を、試合観戦に来た人は必ず観ることができます。
その観客5万人を20人(2競技の間をとって選手を20人と仮定)で割ると、プロ選手1人あたり2,500人のファンが来ればMAX5万人が埋まるということになります。
プロ選手1人につき、観戦に来るファンが2,500人いればいいということです。
ま、なかなかそう簡単にはいかないです(Jリーグ観客動員数・プロ野球観客動員数)が、計算上はそうなりますね。
ちなみに、
プロ野球で一番観客数が多い(2015年)のは読売ジャイアンツ。
約300万人(ホーム72試合)=1試合当たり40,000人
Jリーグで一番多かった(2015年)は浦和レッズ。
約66万人=1試合当たり38,745人
でした。
フィギュアスケートの場合
1大会(2015年世界フィギュア)あたり、
- 男シングル30名
- 女シングル36名
- ペア19組
- アイスダンス30組
という計164名のプロ選手が出場します。
席数21,000(下記2015年世界フュギュア大会のデータ参照)に対して考えると、
選手1人当たり128人ファンを呼べれば満員になりますね。
(厳密には種目ごとに日程は違うので、1日当たり1選手250〜300人のファンが来れば満員になる計算になります)
とはいえ、選手によってもちろん人気は様々。
たぶん、海外の選手なんて知らない日本人がほとんどでしょう。
フィギュアスケートでいうならば、羽生結弦選手や浅田真央選手などの集客力はハンパないので、全体の8割ぐらいが日本のトップ選手(あるいは注目選手)、そして残りもほとんどが他の日本選手による集客になるんじゃないでしょうか。
これは、テニスの錦織選手にも同じことが言えますね。
どういうことかといういうと、
楽天ジャパンオープンの集客は、ほぼ錦織選手だということです。
エビデンスはないので、ただの推測になりますが。
大相撲の場合
こちらは2015年度の観客動員数↓
前年比付↓
全体的に増加傾向ですね。
幕内力士だけで計算した場合、幕内力士は42人登場するので、動員数の一番少ない三月場所の5,808人を42人で割ると、1人当たりの動員数は138人となります。
ではテニスの場合はどうか?
8万2974人
この人数は、テニスで最もメジャーな大会である楽天ジャパンオープンの観戦者数(2015年)です。
2015年大会は、史上最多の観戦者数を記録。
これは大会が開催された7日間を通じてのトータル観戦者数です。
1日平均だと11,853人。
大会にエントリーした選手の数は、
- 男子シングル32名
- 男子ダブルス16ペア
(予選は人数に含んでません)
1選手当たりの平均でいくと、
64選手いますので選手1人当たり185人のファンを呼んでいる計算になります。
過去のニュースを数多くチェックした結果、「12,571人=超満員」と書かれていることから、2015年大会は毎日ほぼ満席だったと推測できます。
よって、出場選手1人当たり185人呼べれば、有明スタジアムの観客席は満員になるということになります。
テニスと他競技の決定的な違い
「日程が進んでいけばいくほど、出場選手が減っていく」
コレです!!
ここが、”前述した競技の試合観戦”と”テニスの試合観戦”の最も違う点です。
テニスは負けたら終わりのトーナメントですからね。
怪我や病気などの理由で欠場する可能性はどの競技にもありますが、前述した全ての競技は、応援している選手がレギュラーであればかなり高い確率で観ることができます。
フィギュアスケートでも、ショートプログラムで予選落ちする可能性も無くはないですが、トップ選手であれば予選落ちする確率はそんなに高くありません。
でもテニスの場合はチケットを事前に買っていても、途中で負けてしまうとその選手の試合が見れない可能性は結構あります。
観戦しに行く人にもよりますが、
「誰の試合でもOKで、私は”楽天ジャパンオープン”を観たいんだ」
って人はいいです。
そういう方は大会を運営する側には、とってもとってもありがたい存在です(そういう方を増やすこともとっても大事)
しかし「誰か特定選手のファン」だった場合、見れない可能性があるのは予約する際の不安要素になります。
また、もし応援している選手が負けてしまっていた場合、そこをメインの目的として観戦しに行った人の満足度が低下してしまう可能性も考えられますね。
”お目当ての選手が観れるかどうかを、運営サイドもコントロールできない”というのは、なかなか難しい問題です。
もう、人気選手が勝つことをひたすら祈るしかないですよね(笑)。
もしくは必ず観れる初日の試合観戦に来てもらうかです。
他に考えられる対策としては、”お目当ての選手が負けても、満足してもらえる「何か」がある”大会にするしかないですよね。
そういうリスクが、テニス(トーナメントの場合)観戦にはあります。
トーナメントだからこその緊張感やドラマがあるというのも、たしかにあるんですけどね。
2週間で70万人以上!
年に1度のイベントとして世界最大規模といわれる、テニスのグランドスラムの1つである全米オープンは2週間で70万人以上を動員しています。
波はあるでしょうが、1日平均6万人ほどの計算になりますね。
そう考えると、楽天ジャパンオープンの11,853人という観戦者数で「日本最大のテニス大会!」というのはどうなんでしょうか・・?
とはいえ、この楽天ジャパンオープンの収益が現在の日本テニス協会の年間予算の半分ぐらいを占めているらしいですし、会場の有明コロシアムは12,000人ほどで満員となるため、それ以上の集客が現状難しい状況です。
何か他に違うアイディアが必要ですね。
チケット価格設定
プロ野球やサッカーは、高い席でもせいぜい6,000円ほどです。
外野席なら2,000円前後でも観戦できます。
最近は「レジェンズシート」という、プロ野球選手OBが解説してくれたり、ファンと交流してくれるようなチケットもあるみたいですね。
サッカー(浦和レッズの場合)なら「ワンダーシート」なんて言い方をするみたいです。
これらのチケットは通常の価格の2〜3倍(15,000円前後)して高価ですが、買っている人がいるということはニーズがあるということ。
どんなことに価値があるかは人によって違いますから、そういう色んな人のニーズに合わせてサービスを作ったり、価格設定することは大切ですね。
楽天ジャパンオープン2016の場合
先述したプロ野球の”レジェンズシート”もそうですが、
- ゆったり美味しい料理を食べながら観戦できるプレミアムシート
- 選手と交流する機会はもらえる権利
- オリジナルグッズや限定グッズをもらえる特典付きのVIP席
などの特殊なサービスを設けて、富裕層(あるいは熱烈なファン)向けに高額な席を販売するのが、近年のスポーツ観戦では多くなってきています。
こういうのは音楽フェスやLIVEなどでも同様の傾向がありますね。
どう差別化するか、どんなニーズがあるのかを考えることが大事です。
お客さんにニーズにきちんと訴求できれば、お客さんは必ず来ますので。
参考までに、過去大会の価格表も↓
楽天ジャパンオープン2010の場合
この時よりもだいぶ値段上がってきてますねw
ニーズやタイミングによって価格が改定されるのは、ディズニーのチケット値上げも一緒です。
http://murakamisuguru.com/2016/02/10/01-13/
ディズニーの場合は、混雑を防いでサービスのクオリティを保つためでもありました。
”チケットが高くて行けない・行きたくない”という層はそもそも相手にしてないわけです。
その辺の価格設定や上げるタイミングは、かなり考えて変更されてますよね。
フィギュアスケートのチケット価格
相場は分かりませんし、高いか安いかは賛否両論。
参考までに載せておきます。
大相撲のチケット価格
行ったことなかったので知らなかったですが、意外と高いです。
これが15日間×年6場所あります。
稼働率もほぼ100%ですので、大相撲観戦は非常に上手くやってますね。
一時期観客数は激減していましたが、今はすっかり元どおりになってます。
私にとっては「高いな」と感じますが、好きな人には高くもないんでしょうね。
調べてませんが、チケット価格は上がってるのかもしれませんが。
4000文字以上書いたので、また別記事にて更新します。
今後は
- テニスを観戦しに行く人と、テニス以外の競技の観戦をしに行く人たちとの決定的な違い
- どのような大会を作れば盛り上がるのか
などについて書きたいと思います。