21世紀は「ヒト・ヒト・ヒト」の時代
経営を決める資源は「ヒト・モノ・カネ」だとよく言われてきました。
しかし、21世紀は「ヒト・ヒト・ヒト」だと大前研一氏は言っています。
(参考記事→http://zuuonline.com/archives/58496)
これまでと今ではどう変わってきたかというと、
「カネ」
は、良い商品(良い事業)であれば、インターネットを活用して宣伝・拡散することにより、一昔前に比べて非常に簡単に集めることができるようになりました。
CAMPFIREのようなクラウドファンディングで、宣伝も兼ねて資金を集めることもできます。
アメリカのクラウドファンディングであるKickstarter(キックスターター)では、新スマートウォッチ「Pebble Time」で24億3000万円が集まった事例もあります。
その商品、あるいはその事業が、「魅力あるかないか、社会的に意味があるのか、賛成されるものか、応援されるものなのか」がキーです。
そういうものであれば、「カネ」を集める手段は意外とあるので、あまり問題ではないです。
「モノ」
は、「カネ」を出せば大概のものは買えるし、使えます。
また、これまで高額だったものや仕組みが、タダで使えるソフトやサービスもどんどん出ています。
「base」や「freee」や「Airレジ」なども無料です。(もちろん、のちのち囲い込んだり、サイドビジネスで儲けを出すために無料にしてるんですが)
FacebookやTwitter、InstagramといったSNSなどのアプリ以外にも、便利で無料なものはたくさんあります。
LINE使ってますよね?あれ、普通に使ってますけど無料ですよね?
少し前までは無料でできるだなんて考えられないものが、無料になっている。
これは本当にすごいことなのです。
また、必要なものは借りたりシェアしたりすることもできます。
例え何かを作るのに必要なものを持ってなくても、インターネットを使うと持ってる人を探すのは割と簡単にできたりします。
そして、持ってる人に直談判しにいけば良いわけですからね。
ですので、「モノ」も割とどうにでもなりますね。
残るは「ヒト」
「カネ」や「モノ」を如何に使うか(どう使うか・何に使うか)、使いこなすかという部分が重要です。
「カネ」や「モノ」がいくらあっても、それらを使えるのは「ヒト」だけですからね。
スポーツビジネスは「モノ」が重要
カネ=資本
これはそのままですね。
先ほども述べましたが、ビジネスとして魅力があるなら勝手に「カネ」は集まります。
なかったら集まらない。
「魅力があるか、社会的に意味があるか、賛成されたり応援されたりするものなのか」
ヒト=人材
こちらも同じく、魅力のない分野に良い人材が集まりません。
スポーツビジネスでは「選手」や「観客」などの「ヒト」が出てきますが、「選手=人材」ではないということ。
間違えやすいですが、理由は後述します。
モノ=商品
スポーツビジネスでは、「ゲーム(試合)やその場の空気」のこと。
「選手」や「競技者」や「参加者」は、商品(=「ゲーム(試合)やその場の空気」)を生産する原材料となります。
よって、「選手の人件費」は「仕入れ原価」となります。
プロ野球でいうと年棒、テニスでいうと賞金額や誘致にかかった費用などですね。
そういったプロ選手達や、合宿や大会に参加する人達が生産して販売している商品というのが「ゲーム(試合)やその場の空気」というわけです。
まずそれらの商品があった上で、周辺ビジネス(飲食やグッズ関連など)が盛り上がるわけですね。
商品を生産する場所(=工場)は?
スポーツビジネスにおける「モノ」=「ゲーム(試合)やその場の空気」を生産する場所は、アリーナやスタジアムです。
テニスなら、もちろんテニスコートですね。
こういった施設の建設コストは巨額です。
しかも、たいがいその建設費のコストの回収は困難となってます。
なぜか?
それは、ホームゲームがプロ野球なら72試合、Jリーグなら30試合弱しかなく、
「工場」が年間半分も稼働しない
という仕組みだからです。
もちろん他の日は他競技やライブ、イベントなどなどで使用したりはしますが、このスポーツビジネス産業において、工場と商店が稼働しているのは一年間の半分にも満たないんです。
よって、営業機会が極めて限られているという特殊な産業なんですよね。
テニスの「ブルボンビーンズドーム」の場合
兵庫県三木市にあり、世界基準で日本最大級でとてもエコ(らしい)な施設ですが、総工費は44億円。
興行利用で全面12時間使用すると仮定した場合、1日で100万円かかります。
ということは、このまま365日毎日使い続けたとしても、
44億円÷100万円=4,400日≒12年間
という計算になります。
防災公園ということで御国から費用を引っ張ってきたのかなと思いますが、スタジアムなどはこのぐらい稼働してやっと元が取れる、という例です。
ちなみに管理費用は年間550万円。(これはかなり安い模様)
植物を屋根に植えたりする仕組みや気候の良い場所に建設したことにより、空調関係の費用を抑え、安く済んでる模様です。この仕組みはかなりエコですね。
ま、結論として、スポーツ産業は通常の産業的視点からは、「経済的に利益を追求する姿勢が高くはない」といえますね。いまのところは。
それでも、スポーツ産業が成り立っているのは、スポーツそのものに公共性があり、大なり小なり、公的な資金の支援を受けるからです。
スタジアムなどの巨額の建設コストは公的な資金で賄うのが、世界の常識らしいです。
経営資源を構成する基本的な要素の一つが「公的資金」で賄われるのは、スポーツ産業の特色と言えるようですね。
そんな中、
日本初の「公的資金なし」のスタジアムができました
それはガンバ大阪のホームスタジアムとなる「万博新スタジアム(仮)」です。
このスタジアムは、個人・法人からの寄付と助成金で約140億円集め、建設されたんです。
公式ページ→みんなの寄付金でつくる日本初のスタジアム
内訳をいいますと、
- 個人約3万人で約6億円
- 法人721社で約100億円
- totoの売り上げによる助成金で約35億円
という感じ。(最終的には国土交通省などからの補助金も獲得しましたが)
これは本当に素晴らしい試みだと思います。
私は自転車日本一周中、各地に建設された無駄無駄無駄な施設を見てきました。
「予算が余ってるから残すのもったいないしとりあえず作っとけ」的なモノとかですね。
そういうものを立てる公的予算というのは、仮に今年度残したからといって来年増えたりしないので、なるべく全部使っちゃうようにするわけです。
そしてその後の管理費用で苦しむんですね。
長野オリンピックなどでもそうでしたが、イベントがあるから建設しまくるのはいいものの、イベント後の管理をどうするかまでちゃんと考えてないんでしょうね。
もしくは、いろいろ裏の話し合いがあり、建設する必要が出てしまうのでしょうか…。
管理や運営は、地元の市や都道府県が行うんだから最初から一緒に考えれば良いのにね。
新国立競技場の建設計画が改められて本当に良かったと思いますよ。
あれ、2620億円ですからね。
成熟社会となった今の日本は、モノが溢れて過剰になってるわけです。
なので、私のスタンスは「今あるものを使う=無駄を減らす=効率よく使う」という方向であり、「そのためにどのような仕組みを作るか」あるいは「仕組みやルールを変えていくか」というのが大事だと考えています。
世の中の流れとしては「uber」や「Airbnb」に見られるようなシェアの文化が広まっていますので、「テニスコートもシェアすればいい」と考えています。
とはいえ、なかには新たに作る必要がある、というものもありますよね。
そういう場合は「万博新スタジアム」のようなモデルが、最適なカタチではないでしょうか。
ちなみに、完成したスタジアムは吹田市に寄付されて吹田市の所有となり、運営はガンバ大阪がするとのこと。
こうすることで、膨大な固定資産税を支払う必要がないわけです。
また、市民や企業を巻き込み「みんなが出し合ってみんなで作った」というスタジアムなので、親近感も湧き、みんなで盛り上げていくような流れになるんじゃないでしょうか。
こういったモデルは、今後全国的に増えていくモデルでしょうね。
もうひとつ。
建設ではなく買収になりますが、DeNAが横浜スタジアムの運営会社を買収しましたね。
(関連記事→http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/tk/15/433782/112300163/)
これもスポーツクラブとスタジアム運営の一括経営による相乗効果を狙ってのことです。
こちらもガンバ大阪の事例と同じく、良い方向性だと個人的には思います。
日本では最もメジャーなプロスポーツといってもいい野球とJリーグですが、このような運営をしていくチームや会社が他にも増えていくのではと予想してます。
条例の変更もありましたからね→指定管理者制度について
この仕組みは、公の施設を民間企業やNPOが管理運営を請け負うことができるというものです。
もちろん、募集があり、選ばれればという話ですが、売上利益は管理団体の利益となります。
こういう事業も私はやっていきたいなと考えています。
高校テニス部の外注請け負うNPO関連事業について
個人的には「学童保育・教育・介護・町おこし」などを絡ませていきたいと考えていますが、
まずは高校テニス部の外注請け負いのNPOを作り、高校〜社会人までごっちゃ混ぜにした関西圏内での大規模な大会(リーグ戦)を作ります。
モデルは関東にある多摩社会人庭球連盟です。
(サイトはコチラ→多摩社会人庭球連盟ホームページ)
この仕組みに、高校生や大学生も含める形ですね。
もちろん希望者のみであり、高校単位で参加しても良いし、高校が違っても仲の良いメンバーを集めて参加しても良いです。
私のスタンスは
「やりたいヒトでやる」「既にあるモノを使う」「あいてるバショを使う」
というのが基本的な考え方ですから。
高校のテニスコート、大学のテニスコート、各企業のコートを借りて使っていきたいと考えています。
もちろん「なるべく空いてるタイミングで」ね。
うまく活用すれば、テニスコート代が安く済み、バッティングすることが減って休日も市民コートが取れるようになり、お互い練習にもなり、高校生達は多様な大人に触れる機会が作れます。
若者たちにはそういう機会を作ることが大事じゃないかなと思います。
また、日本特有の中学・高校・大学でくっきり分けてしまう仕組みも変えていきたいと個人的には考えています。
その仕組みを全て無くす必要はないと思うのですが、もっと違うカテゴリー(様々な世代という意味)の人間と接する機会を作った方が、のちのち絶対に良いのではないかと考えてるんですよね。
それがスポーツでは可能だと考えていますし、そのために「テニス」を利用するんですね。
まずは構想中のリーグを大きくし、そこに関わる人を増やしてNPOの活動を知ってもらいつつ、協力してもらえる人を見つけて増やしていきながら、その方々と他事業を進めていこうと考えています。
チャリ旅中、いろいろ考えていましたが、事業を行う上で大事なのは
「巻き込み力」
だと思います。
容赦なく巻き込ませていただきます。
やらされ仕事はさせないように気をつけはしますけどね。
また、文章に書くと難しいのですが、テニスを始める人を開拓していく事業も行い、テニスサークルやテニススクールにどんどん人を振っていこうと考えてます。
事業といってもそんなたいしたものではないです。
「テニコン」と呼ばれるテニスコンパのようなイベントですね。
なぜそういうものをするかというと、テニススクールって基本的に営業かけないですよね?
新聞にちらし入れたり、ポスティング(ティッシュ配り)するぐらいだと思います。
正直ほとんど意味ないと思います。
ですので、能動的にスクールの顧客獲得をする活動をするというイメージですね。
NPOメンバーが紹介してその方がスクールに入会したら、スクール側からお金をもらう、というような。
まぁまだ妄想段階ですけど、そうすることでテニス人口を増やしていくお手伝いができるかなと思います。
意識的に増やしていく動きがないからなかなか文化にならないし、伊達や杉山や錦織任せなわけです。
また、学童保育は「テニス教えるついでに子供の面倒みますよ」ってことです。
そういう習い事と学童を兼ねたNPOや民間機関も、最近では増えてるようですけどね。
テニスが文化にならない理由は、「テニスに対する最初の接触が早くても中学生であること」が1つあると思います。
中学といっても中学はまだまだ軟式が多いですので、硬式テニスに限るとほとんどが高校生からでしょう。
中学生以下でテニスを始めてる子供というのは、ほぼほぼの確率で親がやっています。
テニスに接する機会が高校生と野球やサッカーなどに比べてとても遅いために、なかなか文化にならないのではないでしょうか。
まぁいろいろと構想はありますが、走りながら考えながら修正しながら進んでいくと思います。
全てにおいて必要不可欠なのは、
「公的機関や周りの方々に、如何に信用してもらえるか」
という点です。
学校絡み、子供絡みですので、「何かあったらどうするんだ」的な話も出てくるでしょう。
そういう声はうまいことクリアしながらやっていこうと思います。
関わる機会がありましたら、その際は宜しくお願い致します。
スポーツビジネスが、他の産業と最も違う点
「ゲーム(試合)やその場の空気」という商品の生産が、単独ではできないとともに代替することが不可能、という点です。
そんな産業や製品は、ほかのどこにもないんですね。
選手も、観客も、そこに関わる全員で作ったものが商品となるわけです。
大量生産、大量消費時代が終わり、時代はこのスポーツビジネスの考え方に近い方向へ流れていくと、個人的には予想してます。
なんとか流れに乗りつつ、流れを作りつつ、やっていきたい次第です。